ギャラリー02「 別府湾のクジラ 」アトリエくまさん
ギャラリー02「 別府湾のクジラ 」では、2004年2月に大分県別府湾に現れたザトウクジラの写真を掲載しています。
地元では「かんたん」という地名にちなんで「かんちゃん」と呼ばれていましたが、小笠原のデータベースには「ベッピー」という名前で私が撮影した尾びれのIDが登録されています。
このザトウクジラとの出会いがきっかけとなり、翌年から毎年沖縄へ行きベッピーを探すとともにザトウクジラのID写真撮影などによる保護活動にも携わっています。
まだ沖縄や小笠原など日本近海では見つかっていませんが、太平洋のどこかの国ででも発見された場合は私にも連絡をいただくようになっているので、どこかの海で元気でいてくれることを願っています。
ベッピー(かんちゃん)1
このクジラは体長10m位なので2~3歳の子供とみられています。
ベッピー(かんちゃん)2
ベッピー(かんちゃん)3
座間味村ホエールウォッチング協会の大坪さんによると、座間味で識別された個体とは一致しなかったそうです。座間味では親子クジラに対してはストレスを与えないようにあまりウォッチングしないため、1~2歳の若い個体の識別写真が少ないことと、このベッピーが若いこともあり、マッチしなかったそうです。
ベッピー(かんちゃん)4
ベッピー(かんちゃん)5
ベッピー(かんちゃん)6
ベッピー(かんちゃん)7~別府湾を悠々と泳ぐ姿です~
ベッピー(かんちゃん)8
美ら海水族館の東さんによると、日本全土で混獲や座礁した個体はいずれも若い個体が多いので、何か訳があるのではないかとの事です。また沖縄での照合で一致してない要因としては、若い個体であり、沖縄などでは生まれた年に来ている可能性が高く、ちゃんとした写真が撮れていないことも考えられるそうです。
ベッピー(かんちゃん)9
ベッピー(かんちゃん)10
この写真は、子クジラによく見られる体を伸ばしてリラックスしている様子です。
ベッピー(かんちゃん)11
ベッピー(かんちゃん)12
ベッピー(かんちゃん)13
今回乗船したウォッチング船「いでゆ丸(当時)」の黒木さんによると、日によって見られないこともあり、この日も午前中は発見できなかったそうですが、幸い私たちは午後1便の最後に見つけることができ、続けて乗船した2便にて運良く尾びれのID写真などを撮影することができました。
ベッピー(かんちゃん)14
ベッピー(かんちゃん)15
ベッピー(かんちゃん)16
ベッピー(かんちゃん)17
ベッピー(かんちゃん)18
これが小笠原のデータベースに登録されているベッピーのIDです。
小笠原海洋センター(当時)の山口さんによると、小笠原で登録されている1,100頭、沖縄の400頭の中にはこの個体はいなかったそうです。よって、まだオスかメスかもわからないこのクジラを、別府湾にちなんで、また海外で見つかる可能性もあり英語でも発音しやすいように「ベッピー」と命名してくれました。
日本鯨類研究所の西脇さんの分析では、尾びれの形状で左右が非対称であることと、尾びれ両葉に薄いぼかしが入っていることがベッピーの大きな特徴だそうです。細かく見ると、左葉の先端に傷のようなものを確認でき、ここにフジツボをたくさん付けていること、尾びれ付け根の切れ込みが左右で異なっていること、左右の葉の中央から先端にかけて色が薄くなっていること、また、尾びれの先端付近の縁辺の左右のカーブも特徴であるとのことです。
ベッピー(かんちゃん)19
ベッピー(かんちゃん)20
ベッピー(かんちゃん)21
ベッピー(かんちゃん)22
ベッピー(かんちゃん)23~別府湾を悠々と泳ぐ姿です~
ベッピー(かんちゃん)24
ベッピー(かんちゃん)25
ベッピー(かんちゃん)26
ベッピー(かんちゃん)27
ベッピー(かんちゃん)28
ベッピー(かんちゃん)29
日本鯨類研究所の西脇さんによると、今回の別府湾では、数人の方から2頭いるという情報ももらっていましたが、実際に撮影された写真からは2頭の存在を肯定する情報は得られなかったそうです。
ベッピー(かんちゃん)30
ベッピー(かんちゃん)31
ベッピー(かんちゃん)32
当時の様子1
これは当時のウォッチング船に飾られていた写真です。
当時の様子2
これは当時のウォッチング船です。
当時の様子3
これは当時のウォッチング船です。
当時の様子4
ベッピーが別府湾から去った後、2004年5月19日に別府国際観光港沖約3km地点の刺し網にかかって死んでいる子クジラが発見されました。
体長6.6m、重さ4.1t、最大胴囲約5mの推定1~2歳のメスで死後4~5日たっていたとみられ、胃の中には何もなく体からも死因を特定できる異常は見られなかったそうです。
当初ベッピーと同一個体であると見られていましたが沖縄美ら海水族館の東さんが私の撮影した写真などにより別の個体であると証明してくれました。
この時期に別府湾に2頭のクジラが滞在していたこと自体が極めて珍しい出来事だったと思います。
このクジラの骨格標本は大分市の水族館「うみたまご」で保管されています。
当時の様子5
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